採水地から汲み上げられた水をミネラルウォーターとして販売するには、決められた工程と条件をクリアする必要があります。ここでは、日本におけるミネラルウォーターの製造過程の一例を下記に挙げていきます。
採水
ミネラルウォーターの原水を、採水地から汲み上げます。採水地となっているのは山の麓・川の源流・泉(湧き水)などさまざまで、厳しく環境管理・衛生管理されていることがほとんど。また、採水地によって水に含まれるミネラル分は異なります。
水質分析
汲み上げた原水に含まれる成分・微生物の有無・色・味などを、基準に沿って細かく分析。安全な状態にあるかどうかをチェックします。それをクリアした安全性を確保されたものだけが、次の工程に進むことができます。
ろ過・減菌
原水をフィルターに通して不純物をろ過したり、浮遊物などを沈殿させて取り除きます。
ナチュラルウォーター・ミネラルウォーターであれば、ろ過・沈殿のほかに加熱殺菌(80℃・30分)を実施。人が安心して飲める状態へと調整します。
ボトリング
品質を調整した水を、衛生状態が管理された室内(クリーンルーム)内でペットボトルなどにボトリング(充填)します。ボトリングした水は最終的なチェック(水の透明度・味・ニオイなどの確認)を受けた後、商品として出荷されることになります。
ミネラルウォ―ターの
有名な採水地
ここでは、日本や世界各国で有名なミネラルウォーターの採水地についてまとめてみました。採水地によって、ミネラルウォーターの特徴はだいぶ異なります。有名な製品についてもご紹介していますので、ぜひ違いをチェックしてみてください。
日本
-
富士山麓
富士山の麓にある採水地の水は、まろやかで飲みやすい軟水タイプ。バナジウムを多く含んでいるのが特徴で、水質はアルカリ性です。クセがないため、子どもからお年寄りまで幅広く愛されている水と言えます。
- 有名な製品
- ・富士ミネラルウォーター
- ・富士山麓のおいしい天然水
-
南アルプス
甲斐駒ケ岳・八ヶ岳と、3,000m級の山が連なる南アルプス。南アルプスの水は、山に降った雨や雪が長い歳月をかけて磨かれたものです。水質は飲みやすい軟水で、硬度はおよそ30。スッキリとしていて、清涼感のある味わいとなっています。
- 有名な製品
- ・サントリーの「南アルプスの天然水」
-
霧島連山
霧島連山の天然水は、幾多の噴火によってつくられた地層に雨や雪が何百年もの歳月をかけ地下100mの地下水脈に到達したもの。シリカ・炭酸水素イオンといった希少ミネラルを含み、味も日本人が好みやすい中硬水となっています。
- 有名な製品
- ・飲むシリカ
- ・ドクター・ウォーター
- ・シリカシリカ
フランス
-
コントレックスヴィル
ロレーヌ地方・ヴォージュ山脈の近くにある、美しい泉「コントレックスヴィル」。言わずもがな、フランスの硬水コントレックスの採水地です。高い品質と安全性を保つため、採水地の周辺約4,100haは環境保護地域に指定されています。そのため、ろ過・沈殿・殺菌などの処理をしなくても、クリーンな水を採水できます。
-
ボルヴィック
日本でも有名なミネラルウォーター「ボルヴィック」の採水地は、フランス中部・オーヴェルニュ火山自然公園の北端にあるボルヴィック村。ここには5ヵ所の採水場が設けられていますが、厳重な環境保護・水質管理のため、関係者以外は非公開となっています。水の硬度は60mgの軟水で、日本人にも飲みやすい味わいなのが特徴。
アメリカ
シャスタ
アメリカの採水地として有名なシャスタは、カリフォルニア州北部にある標高4,317mの山。シャスタに降り注いだ雨や雪は岩床を通り抜けてろ過され、麓にある自然保護地域の採水地から湧き出ています。水の温度は、年間を通して9~10℃に保たれており、湧き水をそのままボトリングしているのが特徴。代表的な製品は、「クリスタルガイザー」です。
イタリア
サンペレグリノ
サンペレグリノは、イタリアン・アルプスの麓にある小さな街。この地に湧く鉱泉(サンペレグリノテルメ)が採水地となっています。サンペレグリノに湧く水はミネラル豊富な硬水で、キメ細やかな炭酸を含んでいるのが特徴。代表的なミネラルウォーター「サンペレグリノ」は、世界100ヵ国以上のレストラン等で利用されているほど有名です。