骨粗鬆症は「骨」に負荷がかかるような適度な運動により改善することが分かっています。実際にどのような効果があるのか、そもそもどのような要因で骨粗鬆症になるのか、また具体的どのような運動をしたらよいのかをご紹介。
骨粗鬆症で悩んでいる方はもちろんですが、いま健康な方でもいつ骨がもろくなっていると診断されるか分かりません。予防・改善のためにぜひ参考にしてみてください。
運動することで筋肉が付くイメージはあっても、本当に骨密度が上がるの?と思う方がいるかと思います。ここでは、なぜ運動が骨密度に影響するのかを説明していきます。
適度な運動で骨密度がアップするのはなぜ?
骨密度を高める上で必要なのが運動です。運動をすると骨に負荷がかかり、骨に微弱なマイナスの電気が発生します。このマイナスの電気がカルシウムを引き寄せて、骨にカルシウムが沈着しやすくなり骨密度が高くなります。また、運動をすることで血の巡りが良くなるため、骨を作り出す骨芽細胞の働きも良くなり骨が作られやすくなるのです。
効果的な運動としてはウォーキングやジョギングといった、同じ動作を繰り返すものほど骨密度を高める効果があります。ただし、過度な筋力トレーニングや長距離走などの負荷の大きな運動は骨の組織を傷つけやく、骨の修復が間に合わなくなり骨密度を低下させる可能性があるため適度にとどめましょう。
運動により骨折リスクが低下する
運動により骨密度が上がることが分かりましたが、骨密度以外の要因でも骨折のリスクが下がることが分かっています。背筋力をつけることと、運動能力の中でもとくにバランス力を高める検証により明らかになりました。
骨粗鬆症のリスクが高まる閉経後の女性を対象に、背筋強化の運動を2年間指導し10年後に結果を測定。すると、運動を行なっていないグループに比べて、背筋力と腰椎骨密度が高く、椎体骨折の発生率が低くなる結果になりました。また、骨折する理由の一つに転倒することによる骨折があります。バランスを改善できる太極拳を行なうと転倒リスクが29%低くなり、骨折リスクが66%低下することも実証されています。
このように運動を通して筋力・バランス力を鍛えることで、骨密度以外の転倒リスクの回避から骨折リスクを減少させることができるのです。
そもそもなぜ骨密度が低下するの?
骨は一度作られた後、そのまま成長が止まるのではなく他の細胞と同じように「古くなった骨が破壊され、新しい骨が作られる」が繰り返されています。これを骨の新陳代謝と呼び、この新陳代謝が行われることで強さとしなやかさを持った骨になるのです。しかし、加齢にともない骨が壊れる早さに骨の生成が追いつかなくなり、骨密度が徐々に低下していきます。これが骨粗鬆症になる要因の一つなのです。
運動をすることで骨密度の上昇や筋力強化、転倒予防により骨折予防につながることが分かりました。では具体的にはどのような運動から始めると良いのでしょうか。ここでは「ウォーキング」「片脚立ち」「スクワット」の3つを紹介していますので、まずはこの3つから運動を始めてみてください。
■ウォーキング
適度な負荷により繰り返しの運動により、骨密度を高める効果があります。
手順
ポイント
体力に自信がつくまでは30分以内から始めましょう。
胸を張り背筋を伸ばして行ないましょう。
■片脚立ち
片脚立ちをすることでバランス力が鍛えられ、転倒のリスクを減少させます。
手順
ポイント
転んでしまうと危険ですので、必ずつかまるものがある場所で行なうようにしましょう。
■スクワット
下肢の筋力をつけることで転倒防止の効果があります。深呼吸をするペースで行なうスクワットを5回、1日に3セット行ないます。
手順
ポイント
膝に負担がかからないように、膝は90度以上曲げないようにしましょう。
太ももの後ろや前の筋肉に力が入っていることを意識して、ゆっくり行ないましょう。
紹介してきたように骨粗鬆症の改善には適度な運動が必要です。運動をする習慣をつけて骨粗鬆症の予防・改善をしていきましょう。
しかし、改善方法は運動療法だけではありません。「食事療法」や「理学療法」などがあります。理学療法は病院でしか受けることができませんが、食事療法は日常生活で取り組むことが可能です。改善・予防の第一歩として、運動や食事に気をつけることから始めてみてはいかがでしょうか。